姿勢と自律神経 ~正しい姿勢で理想の体調をめざす~
姿勢と自律神経、一見関係ないように思えますが実は大きな関係性があります。
この記事では、私の臨床経験を元に姿勢と自律神経について解説していきます。
1. 自律神経とは?
自律神経は「交感神経」と「副交感神経」の二つに大別され、お互い逆の働きをしながら体を調整しています。
交感神経は主に「体を活動させる」神経で、仕事や運動など活動時に働く神経です。
逆に副交感神経は「体を休ませる」神経で、休息時や睡眠時また、消化などに働く神経です。
交感神経も副交感神経も、どちらかが強ければ良いというわけではなく、状況に応じて正しく働くことが重要です。
例えば、本来活動時に交感神経が優位にならなければいけませんが、その際に副交感神経が優位になってしまうと、
やる気の減退や、日中の眠気、腹痛などが起きる事があります。
逆に夜など休息時に交感神経が優位になってしまうと、
不眠、食いしばり、起床時の筋緊張などが現れやすくなります。
当院に来院されている患者さんでも自律神経が乱れ不調が現れている方は年々多くなっております。
自分では気が付いていない「隠れ自律神経の不調」の場合も多いです。
自律神経の不調一覧表
交感神経の亢進・副交感神経の低下 | 筋肉の過緊張、動悸、イライラ、緊張型頭痛、手足の冷え、便秘、胃粘膜減少、不眠 |
交感神経の低下・副交感神経の亢進 | めまい、倦怠感、やる気減退、のぼせ、お腹を下す、片頭痛、喘息、眠気 |
2. 姿勢が自律神経に与える影響
姿勢と自律神経、一見すると関係ないように思われますが、実は密接な関係があります。
①猫背による呼吸の浅さによる酸欠
猫背姿勢が強くなると呼吸時に胸郭が広がりにくくなります。
その為呼吸が浅くなり酸欠状態になりやすくなります。
酸欠状態が続くと交感神経の緊張がたかまり、筋肉の緊張や頭痛などの症状に繋がりやすくなります。
来院されている患者さんを診ても自律神経の不調がある方は、猫背姿勢や呼吸の浅い方が多い印象です。
➁首肩背中の筋肉の緊張
首や肩、背中は自律神経が集中している為、自律神経の不調で首肩背中の緊張が起きますし、逆もおこります。
もともと首肩こりの多い方は自律神経の不調に繋がる事も多いです。
自律神経の乱れている方の肩や背中を施術するとカチカチでとても緊張が強いです。
③反り腰と自律神経の乱れ
反り腰 の方は、腰が大きく反り、腹筋が弱い事が多いです。反り腰の姿勢が続くと、
〇腰や背中の筋肉が過度に緊張 → 交感神経が優位になり、リラックスしにくい。
〇内臓が前方へ圧迫される → 消化機能が低下、内臓の疲労から自律神経の不調。
◯ 睡眠の質が低下する →反り腰の方は睡眠時に腰痛などが起きやすく、睡眠の質が浅い事が多く自律神経の不調に繋がりやすいです。
4. 理想的な姿勢のポイント
➀理想的な立ち姿勢
以下のポイントを意識すると、自然な姿勢を保ちやすくなります。
✅頭:あごを軽く引き、耳・肩・くるぶしが一直線になるようにする
✅ 肩:力を抜いて、自然に下げる(巻き肩にならないよう注意)
✅ 背中:背筋を伸ばし、猫背や反り腰にならないようにする
✅ 骨盤:やや前傾させ、お尻を締める(おへそを軽く引き上げるイメージ)
✅ 膝:伸ばしすぎず、少しゆるめる
✅ 足の裏:左右均等に体重をかけ、かかと・つま先のバランスを取る
👉 壁を使った姿勢チェック
壁に かかと・お尻・背中・後頭部 をつけて立ち、自然なカーブを意識しましょう。
腰と壁の間に 手のひら1枚分 のスペースがあればOKです。
②理想的な座り姿勢
長時間のデスクワークやスマホの使用で、座り姿勢が崩れやすくなります。 正しい座り方を意識することで、腰痛や肩こりの予防だけでなく、集中力やパフォーマンスの向上にもつながります。
✅ お尻 をしっかり椅子の奥までつける
✅ 骨盤を立てる(骨盤が後ろに倒れないよう意識)
✅ 背もたれに頼らず 背筋を伸ばす
✅ 膝の角度 を90度に保ち、足裏をしっかり床につける
✅ 画面の高さ を目線の位置に合わせ、前かがみにならないようにする
👉 NGな座り方
❌ 浅く座る・背もたれに寄りかかる → 骨盤が後ろに倒れ、猫背になりやすい
❌ 足を組む → 骨盤がゆがみやすくなる
❌ 前かがみになる → 首や肩に負担がかかり、自律神経が乱れやすい
💡ポイント
〇椅子の高さを調整し、足裏が床につくようにする
〇クッションやタオルを骨盤の下に入れ、姿勢をサポートする
〇長時間座るときは 1時間に1回 立ち上がってストレッチをする
③理想的な寝姿勢
寝ている間の姿勢も重要です。 寝姿勢が悪いと、睡眠の質が低下し、自律神経のバランスが崩れる原因になります。
✅ 仰向け寝(基本の姿勢)
〇頭・首・背中が自然なS字カーブを描くようにする
〇低めの枕を使用し、首に負担をかけない
〇膝の下にクッションを入れると腰の負担が減る
✅ 横向き寝(いびき防止・腰痛対策)
〇背骨が一直線になるよう意識する
〇枕は肩の高さに合わせる
〇膝の間にクッションを入れると骨盤の歪み防止に◎
👉 NGな寝姿勢
❌ うつ伏せ寝 → 首が不自然にねじれ、呼吸が浅くなる
❌ 高すぎる枕・低すぎる枕 → 首に負担がかかり、自律神経が乱れやすい
💡ポイント
〇自分に合った枕・マットレスを選ぶ
〇就寝前に 軽いストレッチ をして、体をリラックスさせる
〇姿勢を改善する簡単な習慣
④気を付ける事 社会姿勢と機能姿勢
理想的な姿勢には社会姿勢と機能姿勢があります。
社会姿勢とは、世間一般的にみた良い姿勢で、
機能姿勢とは、取っていて楽な姿勢です。
社会姿勢と機能姿勢に差がでると身体に負荷がかかり、呼吸が浅くなり自律神経も乱れやすくなります。
上で紹介している理想的な姿勢は「社会姿勢」にあたります。
機能姿勢が乱れている状態で無理に社会姿勢を取ろうとすると逆に体がつらくなる場合があります。
下に機能姿勢と社会姿勢の差を埋める方法を紹介致します。
①壁たて伏せ
壁に手をついて腕立て伏せの動きをします。
胸郭が広がり呼吸がしやすくなります。
➁鎖骨下筋マッサージ
鎖骨の下の筋肉をマッサージします。
胸郭が広がりやすくなり呼吸が安定します。
また、肩背部の緊張も取れるため自律神経の安定に繋がります。
③タオルで肩甲骨のストレッチ
猫背姿勢の方は常に肩や背中の筋肉が伸びている状態です。
首肩が前に入り筋肉が伸ばされ緊張状態が続きます。
逆に筋肉を縮めると血流が良くなり緊張もとれやすくなります。
両手でタオルをもち、腕を上下します。
④反り腰対策
反り腰のケアをします。
反り腰のケアはこちらをご覧ください。
6.まとめ
当院に来院されている方でも自律神経の乱れから不調がでている方は多いです。
そういった方は姿勢が乱れている事も多いです。
整体は社会姿勢と機能姿勢を近づける事ができ、鍼治療は自律神経の安定に繋がります。
お体気になる方はお気軽にご連絡下さい。